オゾン週末効果反転現象のメカニズム
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概要
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既報で見いだされたオゾン週末効果の時間・空間上の反転現象を説明するため,移流と反応のみを考慮した簡易数値モデルを作成した。このモデルは,発生源からの移流時間が短いと光化学反応に供給される光エネルギーが制約されるため,O_3日最高濃度が押さえられる状況を説明する。移流時間別にオゾン日最高濃度等値線図を作成して,HC-limitedとNOx-limitedのオゾン生成レジームが存在すること,移流時間とともにNOx-limitedの領域が拡大していくことを確認した。このことから,特定のNMHC,NOx初期値で排出された場合に,発生源近くのHC-limitedから遠方のNOx-limitedへと移行する傾向があることが説明できた。週末の前駆物質の低減がNMHC,NOx間で異なり,NOx低減率が大きいことを前提として,発生源近くではHC-limitedのレジーム内でオゾン週末上昇が,発生源から遠方ではNOx-limitedのレジームにかけてオゾン週末低下がもたらされることがモデルにより説明できた。また,レジーム境界は気象条件によっても異なり,日射量・気温が低下すると,HC-limitedからNOx-limitedへの移行がより遠方に移ることから,週末低下が起こりにくくなることも説明された。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2009-03-10
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