ネスト版RAMS/CMAQ連携モデルによる2007年5月8,9日に発生した広域的な光化学オゾン汚染の解析
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概要
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2007年5月8,9日にかけて北日本を除く日本全域で発生した光化学オゾン汚染について,本研究で整備したネスト版RAMS/CMAQ連携モデリングシステムを用いて現象と要因の解析を行った.シミュレーション結果は,5月8日に主に九州,中国地方日本海側に高濃度オゾン領域が発生し,5月9日にはその領域が東日本側に移動して,北陸にも高濃度領域が現れるというエピソードの特徴を概ね再現した.5月8日の九州,中国地方日本海側の高濃度オゾン領域には,中国内陸部から北東部海上で発生した高濃度オゾンを含む気塊が流れ込んでいる様子が見られ,越境汚染の影響が示唆された.そこで,各地域を起源とするオゾンが,今回の高濃度オゾンエピソードにどの程度寄与しているかの評価を行った.その結果,5月8日の九州北部,中国地方の高濃度ピーク時が最も中国からの影響が大きく,寄与率は約40%であった.また,近畿地方より東側,北側の領域でも,高濃度ピークの現れる5月9日に中国からの寄与率が最も高い値を示していた.2007年5月8,9日に日本で広域的に発生した光化学オゾン汚染は,中国を起源とする越境汚染の影響を強く受けている事が示された.しかし,モデルの観測再現性や寄与率評価にはまだ課題が残されているため,今後本研究で使用したモデリングシステムや発生源データを更に改良し,得られた結果を検証する事が必要である.
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2008-07-10
著者
-
大原 利眞
静岡大学工学部
-
鵜野 伊津志
九州大学応用力学研究所
-
早崎 将光
千葉大学
-
黒川 純一
国立環境研究所
-
大原 利眞
独立行政法人国立環境研究所アジア自然共生研究グループ
-
黒川 純一
独立行政法人国立環境研究所アジア自然共生研究グループ
-
早崎 将光
独立行政法人国立環境研究所アジア自然共生研究グループ
-
早崎 将光
筑波大学
-
鵜野 伊津志
国立環境研究所
-
早崎 将光
独立行政法人国立環境研究所
-
黒川 純一
富士通fip:国立環境研究所
-
大原 利眞
環境研
-
大原 利眞
独立行政法人国立環境研究所
-
鵜野 伊津志
Japan Agency For Marine‐earth Sci. And Technol. Yokohama Jpn
-
鵜野 伊津志
独立行政法人海洋研究開発機構
-
黒川 純一
独立行政法人国立環境研究所
-
大原 利眞
独立行政法人国立環境研究所 アジア自然共生研究グループ
-
鵜野 伊津志
九州大
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