ヨシ(Phragmites australis Trin.)の成長過程における葉面積簡易測定法
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概要
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緑色植物の葉の大きさは光合成による物質生産やその成長を左右する基本的要素の一つであり、生態学の領域において関心の高い要素である。葉面積の測定には自動葉面積計(Murata 1967)を用いるのが一般的であるが、近年は画像解析ソフトを用いたパソコン上での解析方法(石井2007)も提唱されている。また、植物群落の生産構造では、葉の乾燥重量を物質生産の場の大きさとしてとらえる間接的な方法も採られている。いずれの方法においても葉面積の測定には、対象の葉を植物体から切り離して行うのが通例であり、対象の葉は1回限りである。しかし、植物の成長期間中の成長量を調べようとする場合にはフィールドにおいて同一植物体の同一葉を連続的に測定することが必要となり、前述の方法で生かしたまま多数の同一葉を繰返し測定することは困難である。このような問題を解決するため、生育中の実の部分的な計測によって面積を求めることができないかということについて検討した。多くの植物で、同一種の植物の葉は互いに相似形を採っているのがほとんどであり、ヨシやススキ、ササ類などイネ科植物の実は広線形で全線といった単純な形態をしており、その大きさを左右する要素は葉身の長さと幅である。筆者らは、青森県の津軽平野を流れる岩木川下流の河川敷におけるヨシ群落の人為的な撹乱による影響を調べるにあたって、ヨシの成長に伴う葉面積拡大の経緯の追跡や葉面積指数の推定を行う目的で、ヨシの葉の葉長と葉幅から葉面積を求める方法と、葉の乾燥重量から葉面積を得る簡易的な方法を得たので報告する。なお、本研究は岩木川における河川生態学術研究会の総合的な調査研究の一環として実施されたものである。
著者
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