語義の変遷と辞書の記述 : 「こだわる」の肯定的な使い方を例に
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概要
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語の意味は時代とともに変遷する。辞書の機能には,国語の規範を示すという一端もあるが,どの程度変化に追随していくものなのか。最近は短周期で改訂が行われ,その都度新しい言葉が取り入れられ,用例や共起語の記述など,語の意味記述がより詳細になされるようになってきた。本稿では,比較的最近,従来なかった肯定的な使われ方が浸透してきた「こだわる」という語をとりあげ,辞書の語義記述を調査するとともに,この語の現代的な使用の実態を分析した。その結果,辞書においては,1990年代から「こだわる」の新しい用法についての記述が増え,今年度の改訂をもって,主要な辞書はほとんどこの用法を記述するようになったことが確認できた。また,「こだわる」という語は,現在では,(1)「他人が気にしないようなこと,またはこれまで否定的に捉えられてきたような細かいことにまで注意を向ける」,(2)「ある事柄そのもの,またはその一要素を追求し続ける。行為の対象をその事柄,要素のみに限定する」といった意味で用いられ,否定形にした場合には(3)「それだけではなく〜」「〜にかかわらず」という助詞的な使い方が行われていると考えた。
- 同志社大学の論文
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