ひらがなの文法性・語彙性
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概要
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現代の統制がとれた表記のもとでは,ひらがなは,表音文字であるにもかかわらず,特別の語・形態と関係することもあると予想される。それを確認すべく,2000年1年間の朝日新聞社説の全文にあたった。出現頻度がおおきいひらがな14字は,累積でひらがな延べ約398千字の73%,文字全体延べ約776千字の32%をしめる。その1/100を抽出して整理し,次の結果をえた。出現順位1位のひらがな「の」は82.4%が格助詞「の」を表し,以下,4位「に」は80.4%が格助詞「に」,5位「を」はすべてが格助詞「を」,7位「は」は95.9%が副助詞「は」,8位「た」は72.6%が助動詞「た」,10位「が」は90.1%が格助詞「が」,12位「て」は88.4%が接続助詞「て」を,それぞれ表している。文法的要素との関係がこいのが特徴的である。語・形態は,どのように設定するのが適切であるか,かなの観点からかんがえる必要もある。すなわち,語・形態の設定によって,次の結果もえられる。3位「る」はほとんどが動詞・助動詞活用語尾,その2/3は靡き,9位「と」は2/3が助詞,11位「し」は2/3以上が動詞の活用語尾,13位「で」ははとんどが文法的部分,その1/2は格助詞「で」を表す。特別の語・形態とはむすびつきがよわいものがある。2位「い」は1/5が補助動詞「いる」,2/5が形容詞系統活用語尾,6位「な」は1/3が形容詞・助動詞「ない」,1/4が形容動詞・助動詞「だ」活用語尾,14位「か」は1/4が助詞「から」,1/5が助詞「か」を,それぞれ表すが,他の語・形態はさらにすくない。
- 同志社大学の論文
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