島嶼開発における観光開発の影響 : 八重山諸島の観光を事例に
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概要
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島嶼地域では、これまでの国土開発の中で取り残され、若年層を中心とする人口流出が続き、島の人口減少が止まらない地域がほとんどである。そうしたなかにあって、人口を維持または微増している島嶼地域が存在し、それら地域の特徴をみてみると、観光というキーワードがみえてくる。そして、観光の面からみると、これまでに確かに存在した産業観光に変わって、地域に根付いた文化や工芸を中心とし体験学習を前面に出した産業観光が注目されてきている。本報告では、多くの島嶼部で人口減少が起きているなかで人口増になっている沖縄県の八重山諸島に属する竹富町の竹富島、小浜島、西表島を調査対象として取り上げ、その要因として観光開発による観光産業の活性化にあるという仮説をたてた。それぞれの島は、観光を地域振興の核としているが、その形態も違う特徴を持つことから、島嶼部における観光を軸とした振興が島嶼においてどのような意味があるのか、具体的には人口増となる要因になるための条件とは何か、外部者との関わりや今後の方向性を検討してみた。その結果、観光開発によって雇用が生まれるが、その雇用は必ずしも地元住民の若者の供給を促すものではなく、むしろ自然に志向をもつ外部者によって供給され、そのことが人口増につながっていることがわかった。外部者を引き付けるという意味において、自然環境は重要である。そのため、自然資源を核とした観光が展開される場合、特にエコツーリズムのようなある程度専門知識・技術・経験が必要とされる場合には、外部者が参入しやすい環境が生まれる。しかし、外部者と地元住民との関係は基本的に希薄であり、それは共同体組織への脅威にならない範囲である限り受け入れられる。そのため、土地の売買の規制などの予防的な措置がとられることで、そのリスクを軽減している。
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