メディアによるニュースの伝達を通してみた集合的知識の形成 : 中国の場合
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本調査は、2006年に出版された世界10カ国(オーストラリア、オーストリア、チェコ、ドイツ、インド、日本、メキシコ、南アフリカ、アメリカ合衆国、中国)の調査、Ingrid Volkmer(編), News in Publich Memory : An Inernational Study of Media Memories across Generationsの一部として行われたものである。中国の部分のみ、2度の翻訳を経なければならなかったため、原稿が遅れ、同書に掲載できなかった。内容は、メディアの発達と10代に接触したメディアのその後の人間形成(特に、知識の形成)とその集合体としての国民性の形成に与えた影響とその具体的なメカニズムを、現時点まで記憶に残されているニュースに題材を絞って解明しようとしたものである。方法は、メディア発達に典型的な3つの世代から、それぞれグループインタビューを行い、1)10代のメディア環境、2)メディアとの付き合い方、3)記憶されているニュース、を明らかにした。「記憶されているニュース」については、それぞれの世代が10代のときに起こった世界的出来事10を10カ国共通に提示して、どのようなメディアからどのように伝えられたか、何を記憶しているかなどを、語ってもらったものである。他の9カ国については、メディアの発達(発達の時期は多少異なりがあるにしても)とその付き合い方、影響には、共通のものが多数見られるのに対して、中国はかなりの特異性をもっていることがわかった。たとえば、ニュースの普及が新聞を中心として行われた高齢者世代(Oldestと表記:青少年期1935-1946年)では、知識と思想は地域と階層、性別によって異なりを見せていたのに対し、有線放送の普及した中年世代(Middle:1979-1984年)では、地域、階層、教育、性別にかかわらず統一的な知識・情報が普及して、知識・情報・思想という面で中国全土の統一がなされたことなどが明らかにされた。
著者
関連論文
- 社会制度を考える枠組み : 日本の教育・学習制度に関する研究経験から
- メディアによるニュースの伝達を通してみた集合的知識の形成--中国の場合
- メディアによるニュースの伝達を通してみた集合的知識の形成 : 中国の場合
- 医療情報の提供 : 図書館と司書の役割の変化
- 遠隔教育で行われている司書教諭養成 : 司書教諭は,生徒たちにどのような能力を養うことを期待されているかアルバータ大学の事例から
- 図書館の副次的機能の重要性 : 若い人達の図書館利用の実態調査より