第74回東京女子医科大学学会総会シンポジウム「東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設について」(3)ナノメディシンに向けた医用材料の開発の現状と展望

概要

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リン脂質の分子集合体であるリポソーム(二分子膜小胞体)は、疾病治療を目的とした薬物運搬体として利用され、標的組織への薬物の集積性および薬効を高めて副作用を軽減することが可能であり、テーラーメイド医療の発展に貢献する技術(ナノメディシン)として注目されている。現在、リポソームの構成成分として様々な両親媒性分子が合成され、さらには内包物の放出速度の制御や刺激応答性を持つ様々な機能性リポソームも提案されている。ここでは、粒子径200nm程度のリポソームを用いた人工血球としての展開と展望を述べる。人工赤血球では、高純度・高濃度のヘモグロビンをリポソームに内包させた人工赤血球の調製法が確立され、相当数のin vivo試験が完了しており、次の段階に進めるところまで来ている。また、人工血小板に関しては、フィブリノーゲンγ鎖C末端のドデカペプチド(H12)を表面に担持させてADPを内包させたリポソームが現段階では最も高い止血能と安全性を持つことが、血小板数が正常値の1/20程度とした血小板減少ラビットの出血時間の測定などから明らかとなっている。我々はアミノ酸型脂質のライブラリーを利用して、様々なリポソームを構築し、体内動態と細胞内動態の制御を可能とする機能性リポソームの構築を目指しており、興味深い知見も得られている。更に、極く最近では、リポソームの様な球状形態の運搬体に対して膜厚がnmのシート状の運搬体を、ナノテクノロジーを利用して構築する方法を確立した。それを更に発展させてサイズアスペクト比が100万を越えるナノシートを用いた医用材料「ナノ絆創膏」では、超薄膜に由来するナノシートの物理吸着現象を利用した皮膚や臓器への貼付できるので、従来の創傷被覆材と比較して生体に対して極めてソフトな方法であり、組織の癒着も起こらないので、特に外科手術や再生医療領域における将来性は大きいと思われる。
2009-03-25

第74回東京女子医科大学学会総会シンポジウム「東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設について」(3)ナノメディシンに向けた医用材料の開発の現状と展望

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