酸性雨等森林被害モニタリング第1期における九州地区の特徴
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概要
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全国規模での酸性雨及び森林の衰退に関するモニタリング調査が20km×20kmに1箇所の割合で森林に固定調査地点をもうけて実施された。その第1期として1990年から5年かけて調査が行われた。雨水の調査は6月の10日間(雨期)に採取し分析された。森林の土壌の分析,森林の衰退度の調査も行った。本報告は,この期間の九州地区における雨水・土壌の特徴及び森林の衰退についてまとめたものである。九州地区での雨水のpHはいずれも酸性を示しており,pH5.6以下の雨水が観測された地点は80%以上であった。また,北部九州で降水のpHが低い傾向にあった。全国と比較して,Cl^-,NO_3^-,SO_4^<2->,K^+が低かった。他の成分に違いは見られなかった。土壌のpHは九州では平均5.1で,全国の平均とほぼ同じであった。土壌のpHは九州北部で低く,南部で高い傾向にあった。土壌の交換性(Ca+Mg+K)は全国の平均より低かった。また,交換性Alは土壌のpHが5.2以下になると直線的に増加する傾向が見られた。湿性土壌や火山灰を起源とする土壌でpH,交換性のK,Ca,Mg濃度が高く,酸性雨に対する緩衝能が高いと考えられた。スギ林とヒノキ林では,ヒノキ林でpHや交換性塩基濃度が低かったが,これは立地的な要因によると考えられた。森林の衰退は全体の2%であり,それも軽微な衰退であった。
- 森林立地学会の論文
- 2001-12-25
著者
-
高宮 立身
大分県農林水産研究センター林業試験場
-
横尾 謙一郎
熊本県林業研究指導所
-
佐々木 重行
福岡県森林林業技術センター
-
漢那 賢作
沖縄県林業試験場
-
桑原 康成
佐賀県林業試験場
-
高宮 立身
大分県林業試験場
-
春海 賢一
長崎県総合農林試験場
-
水久保 孝英
宮崎県林業総合センター
-
前迫 俊一
鹿児島県林業試験場
-
佐々木 重行
福岡県森林林技セ
-
水久保 孝英
宮崎県林業技術センター
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