日本企業のトップマネジメント・チーム : デモグラフィー・コミュニケーション・意思決定
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概要
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本稿では、筆者らが実施した質問票調査の結果に基づいて、日本企業のトップマネジメント・チーム(TMT)の実態について、構成メンバーのデモグラフィーというチームの構造要因、チームにおけるコミュニケーションというプロセス要因、チームによる意思決定という観点から記述することを試みている。質問票調査の集計結果では、典型的TMTのデモグラフィー特徴は「メンバー数7人前後、ほぼ男性のみで、年齢は50代から60代以上、社内<生え抜き>が半数以上を占める」というものであった。チームは非常に友好的で凝集性が高く、コミュニケーションの大半は口頭による非公式なものである。定期的な会議はルーティン化されており、事務局や現業部門が実質的に準備した議案についてCEOが積極的に発言し、最終的な決定もCEOの決断によることが多い。会議の開催や運営がルーティン化され、「結論を期待しない会議」の開催頻度も高いことから、公式な会議は「セレモニー」や情報交換の場としての色彩が強く、実質的な意思決定はCEOを中心とした少数のメンバー間での非公式コミュニケーションによってなされていると推測される。TMTによる意思決定では、投資意思決定や新規事業分野への進出など「前向き」なものは比較的ルーティン化されて短期間でなされやすいものの、部門をまたがる調整が必要な組織統廃合や、全社ドメインやミッションステートメントの策定などについては決定に長期間を要し、TMTが十分に機能している訳ではないと評価される。
著者
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網倉 久永
上智大学経済学部
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岡田 正大
慶應義塾大学大学院経営管理研究科
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内田 恭彦
山口大学経済学部
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内田 恭彦
山口大学
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内田 恭彦
神戸大学経営学研究科
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岡田 正大
慶應義塾大学経営管理研究科専任講師
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