「京都小説」の戦後 : 「壮年期-谷崎潤一郎論」その九
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
戦後、谷崎は「関西」ならぬ「京都」との関係から作品を生み出していく。その観点から「少将滋幹の母」を論じる。その成立事情を「乳野物語」との関係から探り、また原典である「今昔物語集」の語り方との違いから、同作品の「老人小説」としての一面を見ていく。「老い」のテーマに若いころの「宿命の女」のテーマが結びつき、男性人物すべてが最後に少将滋幹ひとりのなかに流れこむかたちで「永遠女性」を求める「母恋い」の物語になっていく筋道を明らかにする。
著者
関連論文
- 「関西幻想」の深まり : 「蘆刈」と谷崎と二人のおんな
- 「細雪」とともに (承前) : 戦中戦後の谷崎潤一郎「壮年期-谷崎潤一郎論」その八
- 「細雪」とともに : 戦中戦後の谷崎潤一郎「壮年期-谷崎潤一郎論」その七
- 「春琴抄」前後 : 「壮年期-谷崎潤一郎論」その五
- 老いのモダニズム : 「壮年期-谷崎潤一郎論」その十一
- 「京都小説」の戦後 : 「壮年期-谷崎潤一郎論」その九
- 「京都小説」の戦後(承前) : 「壮年期-谷崎潤一郎論」その十
- 「倚松庵」の時代 : 「壮年期-谷崎潤一郎論」その六
- 歴史ロマンスの夢 : 谷崎潤一郎の「大衆小説」
- 「卍(まんじ)」の試み : 谷崎文学の転回点
- 「蓼喰ふ虫」の達成--谷崎潤一郎青年期の総決算
- 芸術の西洋--谷崎潤一郎大正期の唯美的側面
- 自己不確実と「悪」--谷崎潤一郎青年期の問題
- 山の手から見る眼--谷崎潤一郎論-1-