「京都小説」の戦後(承前) : 「壮年期-谷崎潤一郎論」その十
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概要
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谷崎潤一郎は戦後京都に十年住み、「京都小説」ともいうべきものを生む。「少将滋幹の母」につぐ「京都小説」として、「夢の浮橋」は「母恋い」ものの極致をきわめたものだが、それだけに単純な母恋い小説ではない。父、二人の母、息子の関係が二重人物同士のような複雑さをもち、息子の母恋い物語である以上に、最初の妻を愛した父の妄念の物語と読むこともできる。先行論文の読みの問題点を洗って、物語の複雑さを浮かびあがらせながら、「夢の浮橋」の新しい読み方を示したい。
著者
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