腰椎すべり症に対する固定術の長期成績(1.腰部脊柱管狭窄症:腰椎変性すべり症に対する手術法,<特集>高齢化社会における脊椎・脊髄外科)
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概要
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腰椎すべり症はさまざまな手術法による良好な成績が報告されているが,反面,経過観察中に神経症状は悪化し,再手術となることも多い.腰椎すべり症に対してPLIF(posterior lumbar interbody fusion)とPS(pedicle screw)固定術の良好な成績が報告されている.腰椎すべり症に対してPLIF+PSを行った患者の手術手技と長期成績を検討し報告した.対象:1992年12月〜2008年8月の間に藤田保健衛生大学脳神経外科にて固定術を行った腰椎すべり症350例を対象とした.男性153例,女性197例,平均年齢62.5(16〜84)歳,変性すべり症255例,分離すべり症65例,変性すべり症と分離すべり症合併1例,dysplastic type 10例,腰椎骨折5例,そしてscoliosisを伴っていた16例であった.すべり椎はL2:6例,L3:23例,L4:210例,L5:58例,L2-3:2例,L3-4:45例,L4-5:2例,そしてL2-4:4例であった.314例にcage内には55%poreのhydroxyapatiteを挿入したhybrid cageを使用した.手術成績はJOA score,術後腰椎単純X線検査による%siip,lumbar lordosis,slip angleの計測を行い,骨癒合はCTにて行った.結果:JOA scoreは,術前11.4,術後1〜23ヵ月:24.1(80例),24〜59ヵ月:25.4(76例),60〜119ヵ月:25.0(56例),そして120〜180ヵ月;22.4(10例)であった.%slip,slip angleは有意に改善を認めたが,lumbar lordosisは有意な改善は認められなかった.合併症:神経根障害や全身合併症は認められなかったが,4例に術中硬膜損傷を認めた.2例のcage内自家骨充填症例に偽関節を認め,再手術を行った.また術後感染を認めた3例中2例にimplant抜去を行った.術後10年目に隣接椎間狭窄をきたした2例に減圧手術を行った.結語:腰椎すべり症に対するPLIF+PSの成績は,術後長期経過も良好な成績が得られており,低侵襲術式とはいえないが適応が広い術式と考えられる.
- 2009-02-20
著者
-
井上 辰志
愛知医科大学 脳神経外科
-
久野 茂彦
藤田保健衛生大学脳神経外科
-
庄田 基
藤田保健衛生大学脳神経外科
-
井上 辰志
藤田保健衛生大学医学部脳神経外科
-
久野 茂彦
藤田保健衛生大学脊椎脊髄病センター
-
井上 辰志
藤田保健衛生大学脳神経外科
-
庄田 基
藤田保健衛生大学脊椎脊髄病センター脳神経外科
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