中国、上海における女性移住者の性と生殖に関する健康の実態:1990年後半の調査結果の再検討(2) : 妊娠・出産と周産期ケアサービスへのアクセス

概要

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中国経済の工業化の発展は、目を見張る成長を続けており、並行して都市部の労働力不足は農村部の出稼ぎ労働者が支える形で、農村部から都市部へと労働力は移動している。今なお出稼ぎ移住労働者は増え続けている。本稿は前回(山梨県立大学看護学部紀要第9巻)に引き続き1990年後半の中国、上海における女性移住者の性と生殖の健康状態とヘルスケアサービスへのアクセスに関するサーベイのレビューである。今回は妊娠と出産の健康状態に焦点を当て、調査結果から映し出されたいくつかの特徴を記述し若干の考察を加えた。女性移住者は出産前の同座期ケアのニーズが増大している一方で都市の医療システムの性質からケアサービスの制限があり、地元女性との比較で顕著な差が見られた。また女性移住者は生まれ育った地方の生活経験に基づく信念と実践が都市の医療システムとケアサービスに不信感を持たせケアを求めることを妨げていた。都市の医療システムの問題は中国社会の医療制度を抜本的に見直し、女性移住者が適宜ケアサービスを利用できるよう努力することを示した。さらに妊娠・出産の健康に関連する領域で女性移住者の知識を強化する健康教育プログラムを検討する必要性も示唆された。

著者

滝沢美津子
山梨県立大学看護学部

中国、上海における女性移住者の性と生殖に関する健康の実態:1990年後半の調査結果の再検討(2) : 妊娠・出産と周産期ケアサービスへのアクセス

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