中国、上海における女性移住者の性と生殖に関する健康の実態(1) : 1990年後半の調査結果の再検討

概要

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1980年代以降、外来資本の導入によって上海は、未曾有の経済的発展を遂げた。その結果、多数の移民が流れ込み、爆発的な人口増加を生んだ。この現象は端的に言って労働力の移動であるが、女性にとっても性と生殖に関する健康状態に大きなチャレンジとなった。本稿では1990年後半の中国、上海における女性移住者の性と生殖に関する健康状態の自己報告に基いた複数の調査研究結果のレビューで、その結果から映し出されたいくつかの特徴を記述し若干の考察を加えた。女性移住者は上海で経済的に困難な日常生活の中で、「部外者」というバイアスに直面していた。女性達は自覚症状、滞在期間、医療サービスの面で彼女達が置かれている生活環境や知識など、その特徴は元来の都市生活者との間でより鮮明になった。さらに生殖年令(15歳から49歳)にある女性達にとって、性と生殖に関する医療サービスを受けるニーズが大きいのにもかかわらず、現実にはそのニーズを満たすことは極めて困難な状況下にあることが明らかになった。
2007-03-01