痛み刺激に対する表情変化 : FACSによる表情測定(人文・社会科学篇)
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概要
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痛みを表出する際の非言語的な方法のひとつである表情に注目し,次のことがらを検討する目的で実験を行たった。・痛みを表わす表情には特徴的な形があるのか,あるとすればどのような表情か・痛みの強度によって表情はどのように変化するか・演技によって作った表情は実際に痛みを感じている表情と差があるか 表情を検討するためには,表情を詳細に記録する必要がある。そこでFACSを用いて測定を行なった。実験は先行するコロンビア大学での研究を表考に計画した。対象は女子学生36名である。痛み刺激としては,最も臨床的な痛みに近いといかれている,冷水浸漬痛を用いた。結果は,痛みを体験した際の表情変化は,眉の内側上昇,外側上昇および下降の組み合わせ,頬周辺では頬を引き上げ眉を固くする,瞼を引き締める,口周辺では上唇上昇口角を引く,唇を開く,が特徴的であった。痛みの強度別の変化は,弱い痛みの時は上顔部に表情の変化が強く表われ,痛みが強くなると下顔部に変化が表われてくる。また痛みが強くなると表情表出が複雑になった。演技によって表現した表情は,諸条件に種々の形で影響を受けるものと考えられるが,今回の実験では体験群と比較すると顔の動きが小さく,微妙な動きが多かった。口を閉じた表情を示した被験者が半数を占めたことが特徴的であった。
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