精神看護学実習における学生の対人関係構築のプロセスとその関連要因 : ペプロウの対人関係理論の視点から
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概要
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本研究は、精神看護学実習において学習内容の中核となる「学生と受け持ち患者で構築されていく対人関係構築のプロセス」に焦点をあて、そのプロセスと諸要因を明らかにし、大学教育における精神看護学実習の学習内容・指導方法を検討する基礎資料とすることを目的とした。方法は、本学保健科学部看護学科3年生を対象とし、精神看護学実習前に精神障害者および精神看護学実習に関する半構成的質問紙、実習後にはペプロウの対人関係理論における4つの発展段階に基づいて作成した対人関係のプロセスと対人関係発展に関連した要因についての自由記述式質問紙に回答してもらった。実習前の半構成的質問紙については単純集計し基礎的統計処理を行い、実習後の自由記述式質問紙については学生の記述内容を意味内容の類似既に基づき分類、抽出、カテゴリー化した。結果、質問紙配布数66部、回収数49例(回収率74.2%)であり、無効回答1例を除く48例(有効回答率98.0%)について分析をおこなった。1.精神看護学実習へ不安を抱いている学生は40名(83.1%)であった。不安の内容については「受け持ち患者との人間関係」の項目が46名(95.8%)であり、大半の学生は受け持ち患者との対人関係に不安を抱いていることがわかった。2.対人関係構築のプロセスでは、「方向づけの段階」は実習1日目、「同一化の段階」は実習3日目、「開拓利用の段階」は実習5日目、「問題解決の段階」は実習7日目という時間的な経過をたどる傾向がみられた。3.各段階における受け持ち患者に対する学生の対応について記述内容を分析した結果、【気持の受け入れ】、【傾聴と感情の表出】、【雰囲気】、【共感的な態度】、【内面の心の状態の理解】、【言語的アプローチの工夫】の6つのカテゴリーで構成されていた。4.各段階の学生の対応として、方向づけの段階では【雰囲気】、同一化の段階では【傾聴と感情の表出】、開拓利用の段階では【気持の受け入れ】、問題解決の段階では【雰囲気】のカテゴリーに分類される記述内容が多く、学生は対人関係の発展に伴い対応方法を変化させていることがわかった。5.学生が受け持ち患者と信頼関係を深めたきっかけとして認識していたのは、【雰囲気】のカテゴリーに分類される対応であった。
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