公会計制度改革と財務報告目的に関する一考察
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概要
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近年我が国の財政状態改善のために、国、地方公共団体、独立行政法人といった機関における公会計改革が行われている。公会計改革の背景にある基本思考・目的としては説明責任があげられるが、この説明責任を果たすため公的機関における企業会計的財務報告の導入という形で公会計制度改革が行われている。日本の省庁における説明責任の履行の手段として貸借対照表、業務費用計算書、資産・負債差額増減計算書、区分別収支計算書の四つ、同じく地方公共団体においては、貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書の四つが作成・公表されることになっている。アメリカにおいても説明責任(accountability)ないしは期間衡平性(interperiod equity)という観点から、州及び地方政府機関においては純資産計算書と活動計算書、連邦政府においては貸借対照表、予算資源報告書、事業業績測定報告書、ネット・ポジション変動計算書、純コスト計算書、歳入保管活動報告書及びこれらの報告書に関する必要な補足情報によって説明責任の履行が果たされている。いずれの報告書においても基本的に企業会計的な発生主義や複式簿記を前提とするものであるが、公会計における企業会計的手法の適用が公会計目的を達成するために最適であるという検証が行われないままに公会計改革が行われている。公会計における説明責任をどのように措定し、目的に則した経済活動の把握および記録形式・報告形式の検討が必要である。
- 2009-03-25
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