会計上の資産概念と資産評価に関する検討 : バクスターの所説を中心として(来住元朗先生退任記念号)
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概要
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本稿は,会計上の資産概念と資産評価の問題に関する検討の手掛かりを得るために,バクスターの所説を中心に考察しようとするものである。彼の所説では,資産を将来的便益の源泉として捉え,会計測定上,カレント・バリューが適用されるべきであるとする。カレント・バリューに基づく会計測定の理論的基礎をあたえるものが剥奪価値概念である。剥奪価値概念についてみると,それは限界アプローチに基づくものといえる。限界アプローチは彼の理論のなかで重要な役割をはたすものである。IAS第36号では,個別資産の減損損失に関する認識と測定に回収可能価額が用いられている。回収可能価額の定義は問題解決のための鍵となる。ここでは,限界アプローチと回収可能価額との関連性が説明されている。彼の考え方には,資産評価の論理を考える上で示唆に富むものがある。