会計上の原価概念に関する再検討
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概要
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原価と時価の問題を原価対時価という構図で捉えれば,その構図の両極のうち,一方の極に原価概念,他の一方の極には時価概念が位置する。本稿では,一方の極にある原価概念を検討するために,主にリトルトンの会計学説が考察の対象とされている。なぜなら,歴史的原価主義会計を徹底して主張した論者に,リトルトンが挙げられるからである。本稿の考察では,まず,会計上の関心の焦点と会計目的が明らかにされている。ついで,会計上の実務と理論について,彼はどのように理解していたかということが検討されている。最後に,歴史的原価の論拠とその検討が行われている。これらの検討を通して,彼による所説の特徴は,企業の利益決定計算に重心をおく損益計算書重視の見方,簿記原則に基づく歴史的原価,原価を事実として認識する思考等にあることが明確にされている。