スフィンゴ糖脂質欠損マウスを用いた加齢に伴う神経の変性と再生関連分子の探索
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概要
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1980年代後半から、糖鎖合成系酵素(糖転移酵素)の遺伝子クローニングが著しく進展して、遺伝子操作による糖鎖修飾実験が細胞および個体(マウス)レベルで可能になった。動物細胞の神経組織に多く発現しているスフィンゴ糖脂質(ガングリオシド)についても多角的な機能の解析がなされ、その結果、複合型ガングリオシドが神経機能の維持や修復に必須であることが明らかになった。ここでは、種々の糖鎖合成酵素の遺伝子ノックアウト(KO)マウスの表現型の異常を概説する。また、私達が作成したGM2/GD2合成酵素&GD3合成酵素ダブルKOマウスについて神経組織で発現レベルの異なる遺伝子群をDNAマイクロアレイにより検索した結果、糖鎖欠損マウスにおいては炎症関連分子や補体系分子群の発現増大、およびニューロン保護作用が報告されている分子の著明な発現低下が認められた。糖鎖欠損マウスは、病理学的には小脳のプルキンエ細胞の脱落やマイクログリアの増殖などの異常が観察された。今後、遺伝子発現に差異の認められる分子群の解析や、膜ラフトと構成糖脂質及びラフト局在分子を解析することにより、スフィンゴ糖脂質による神経機能制御の分子メカニズムを解明するための基盤情報が得られるものと期待できる。
- 中部大学の論文
著者
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古川 圭子
名古屋大学 大学院医学系研究科生物化学講座
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古川 圭子
中部大学生命健康科学部生命医科学科
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田島 織絵
中部大学生命健康科学部生命医科学科
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古川 圭子
中部大学生命健康学部生命医科学科
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田島 織絵
中部大学生命健康学部生命医科学科
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