近畿大学医学部附属病院メンタルヘルス科における不登校の病態とその変遷
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は1994年から2003年までの10年間に近畿大学医学部付属病院メンタルヘルス科へ不登校を主訴に受診した6-18歳の患者533人を不登校の病態の変化を調べることを目的として1994〜1998年の前期と1999〜2003年の後期に分け,受診者数,主訴の内訳,不登校に陥った契機,初診時診断(ICD-10),転機について性別,学年別(小学生,中学生,高校生)に比較検討を行った.結果は,10年間の調査期間中の不登校状態にある受診者数に増減はないが前期に比べて後期の男子の受診者数が減少し,不登校に随伴する症状を呈する中高生の女子の受診者数が増加していた.不登校の契機は学校生活によるものが最も多かった.初診時診断はF43(重度ストレス障害および適応障害)の比率が最も大きく,特に女子では男子に比べF44(解離性[転換性]障害),F50(摂食障害)の比率が大きかった.転帰は,中高生に比べ小学生での再登校の比率が大きかった.本調査の結果から,当科では不登校の子どもの受診形態が変化し,特に中高生の女子において不登校に随伴する症状の治療が受診動機となっていることが示唆された.これは不登校に対する理解が浸透し不登校状態にある子どもに対応する各関係機関の役割が明確になり,医療機関は学年別,性別に応じて不登校状態の背景にある症状を把握し治療する役割が求められているためと考えられた.
- 近畿大学の論文
著者
関連論文
- 強迫性障害に対する短期認知行動療法の試み
- 過量の methylphenidate により精神症状を呈した特発性過眠症の1症例 : アクチグラフによる治療効果判定
- 11.知能障害を疑わせた難聴による認知障害(一般演題抄録)
- 精神医学におけるポストモダンの潮流
- 近畿大学医学部奈良病院メンタルヘルス科外来の現状と課題 : 附属病院との比較を通じて
- Miller 法とカリフォルニア人格検査の検討(一般演題抄録, 第56回近畿大学医学会学術講演会)
- 児童の疼痛性障害の1例(一般演題抄録, 第55回近畿大学医学会学術講演会)
- 成人期発症のde la Tourette's syndromeに塩酸Perospironeが奏功した1例
- 近畿大学医学部精神神経科外来における児童青年期患者の動態と分析
- 高機能広汎性発達障害児の認知機能と社会的コミュニケーション能力の障害との関連--ADHD児との比較
- 運動の活動水準からみたADHDに対する塩酸 methylphenidate の効果
- II-B-18 前頭部に棘(徐)波焦点をもつてんかんの臨床
- I-A-14 てんかん発作の誘因について : 小児と成人の比較
- 脳血管障害後に変形視と興味ある脳波所見を示した一症例
- 15.脳血管障害後に生じた変形視と興味ある脳波を示した一症例
- 精神神経科における小児期・思春期の患者について : 外来統計より
- 自殺の生物学的側面 : 子どもの自殺における役割
- 1症例を通じての頭部外傷後急性精神症状の理解
- 15. 成人軽度精神遅滞者へ行動療法的アプローチを行った1症例(第54回近畿大学医学会学術講演会)
- 17. 近畿大学医学部付属病院におけるメンタルヘルス科の時間外診療の現状(第53回近畿大学医学会学術講演会)
- SLEによる精神症状-その臨床的側面
- 児童・青年期のうつ病性障害に対する薬物療法
- 近畿大学医学部附属病院メンタルヘルス科における不登校の病態とその変遷
- アルツハイマー型痴呆に伴う妄想にperospironeが有効であった1例
- ID-17 複雑部分発作重積状態(CPSE)を周期的に繰り返した高年齢の一症例 : 臨床経過とCPSEの分類について
- 15.退行期うつ病の心理的背景
- 18. 当院における内観療法の試みについて : 適応への考察(第53回近畿大学医学会学術講演会)
- 妊娠経過中にアメンチアを来した症例
- 25.急性外傷後精神病の1例
- 19.単純ヘルペス脳炎を呈し, 治癒した1症例
- 17.青年期に発症したanorexia nervosaの男性例
- 29.慢性疼痛を主訴とする一老人患者についての精神医学的考察
- 近畿大学医学部精神神経科外来における児童青年期患者の動態と分析
- 912 慢性分裂病者における眼球運動の特徴(分裂病,臨床2,臨床)
- 神経線維腫症に伴った過換気症候群の1例
- 症例 抗うつ薬へのsodium valproate併用で改善した単極性うつ病の1例
- Brain Science(91)自殺の脳画像研究
- 高機能広汎性発達障害児の認知機能と社会的コミュニケーション能力の障害との関連 : ADHD児との比較
- パーソナリティ障害との併存例ではどうしているか? (特集 「うつ」の治療を考える : 抗うつ薬を使うべきとき・避けるとき)
- STRATEGY 不安・焦燥を伴ううつ病の治療
- リエゾンと緩和(55)緩和ケアにおける精神科医の役割 : 近畿大学医学部附属病院での活動を通して