"最適な"レジャースタイルを特徴づける中核要素としての志向性概念の検討
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概要
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本研究の目的は,成人のレジャー啓発やレジャー支援の場面において用いることのできるような,実用性の高いレジャー生活診断ツールを開発することであった。個人のレジャー生活の量的・質的充実度を評価するために,レジャーに対する考え方や好み,行動傾向などから総合的に把握するレジャー志向性尺度を作成し,女子大学生(N=198)に予備的に実施して,志向性尺度の因子構造や信頼性等の検討を行った。さらに,志向性プロフィールにもとづきサンプルのセグメンテーションを行い,各グループのレジャー生活の諸側面を比較検討することによって,最適なレジャースタイルを示すグループのレジャーの実態を明らかにし,レジャー啓発や支援の場面での有益な示唆を得ようと試みた。32項目からなる志向性尺度を因子分析した結果,志向性の概念は(1)長期的展望・向上,(2)活動性,(3)対人関係志向,(4)主導性,(5)利他主義,(6)自然志向の6要素から構成されることが明らかになり,各下位尺度の内的な一貫性も高かった(α=.868〜719)。続いて,この6因子の因子得点による階層クラスター分析を行い,全サンプルをレジャー志向性に関して様々な特徴を持ついくつかのグループに分類した上で,各グループ間でレジャー活動参加量,レジャー生活満足度,内発的動機づけの強さ等のレジャー生活の充実度を比較していった。抽出された5つのグループの比較結果の中で最も顕著なコントラストを示したのは「最適型」-「消極型」であり,「最適型」はレジャー局面のみならず日常生活全体においても最もアクティブで充実度が高い一方,「消極型」はレジャー活動参加頻度が最も低く,動機づけに欠け,退屈しやすく,レジャー生活の満足度も低く,生活全般のwellbeingも最も低くなっていた。一連の統計的分析は,レジャー志向性のコンセプトが個人のレジャー生活や延いては生活全般の充実の程度を予測するのに有効であることを示しており,これを定量化するレジャー志向性尺度は,レジャー啓発や支援等の実践場面において,効果的に個人のレジャー生活の現状を診断するツールとしての可能性をもっていることが明らかになった。
- 2009-01-31
著者
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