ドイツ連邦・州間財政調整の財政責任史〔III〕 : 第3期の税源「大結合」と協調的連邦主義の確立
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概要
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第3期の連邦・州間財政調整は,州間の間接限界責任と連邦の全体責任を融合させて「協調的連邦主義」を確立した。1969年財政改革法に基づく税源「大結合」では,連邦と州が所得税や法人税を折半する。その税収は,居住地主義に基づく税収分割法の復活によって再配分されただけでなく,財政力の強力州が弱体州を支える水平的財政調整によって州間の「間接限界責任」が発揮された。連邦政府は社会国家の担い手として,売上税の傾斜配分によって州税の各州平均の92%を保障し,生活関係の統一性を維持するために連邦補充交付金で「全体責任」を確保した。この協調的連邦主義のもとで,連邦補充交付金が,各州の最低限度の水準を維持できないとき,「直接限界責任」は,連邦と州の共同決定によって所得税などの共同税の税率操作権を行使するのである。
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