新しい分離場の設計と分析化学的展開(<特集>高度分離へのたゆまぬ挑戦)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
新しい分離場として,物理場,化学場それぞれについて著者らの研究を中心に述べる.物理場内で粒子が受ける力は一般に大きさの関数である.したがって,物理場を用いて分離を行うと,その結果は粒子の大きさを反映する.同じ材料の粒子を分離対象とし,大きさだけを見分けることを目的とする場合は問題ないが,材料と大きさの両方が異なる粒子を含む複雑な試料では,不要に複雑な分離結果を与える.音場-重力複合場は大きさを見分けず,粒子の音響物性のみを見分ける点でユニークである.この方法を用いる粒子材料の区別と,この物理場をチャネル内に組み込んだ流れ分離の例を紹介する.化学的な分離場としては,氷を固定相とするアイスクロマトグラフィーを紹介する.極性成分を含むヘキサンを移動相とし,-3℃以下の温度で測定を行うと,氷表面への吸着により分離が起きる.これに対しより高い温度範囲では,氷表面が融解した擬似液膜が発達し物質の分配が保持を支配するようになる.氷表面,氷が関与する界面は,生体科学や地球科学的にも注目されており,分離結果を基に分光学的手法などの計測系を設計し,比較するのも興味深い.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 2008-12-05
著者
関連論文
- イオンの分離における静電効果と溶媒の役割
- 座談会 誌上討論 分析化学から分析科学へ(第2部)
- 氷を用いる分離 : アイスクロマトグラフィー
- 有機イオン交換体対イオンの水和
- 新しい分離場の設計と分析化学的展開(高度分離へのたゆまぬ挑戦)
- アイスクロマトグラフィー : 氷の物性を利用した分離分析法
- PEG水溶液におけるイオンの溶媒和構造と溶媒和エネルギー
- 超音波を用いる粒子分離
- 水和の違いを強く認識する陰イオン交換体の開発と分離選択性発現機構
- 細管内の層流による物質分離のシミュレーション(流れを利用する新しい分析技術)
- 水溶液表面での全反射X線吸収測定
- 界面ナノ領域におけるイオン交換反応評価に基づくイオン交換分離選択性の向上
- 界面におけるイオンの局所構造と分離選択性
- 国際的一流誌を目指して
- 全反射全転換電子収量X線吸収微細構造による水溶液表面でのイオンの溶媒和構造解析
- 音で粒子を分離する--物質の音響物性に基づく分離の新展開 (特集 極限に挑むナノ分析化学)
- 単分子膜直下のナノ空間でのイオン交換反応の設計と評価
- 対イオンの溶媒和構造に着目したイオン交換分離選択性向上戦略
- Atomic XAFS for a Bromide Ion Bound on Anion-Exchange Resin in Water
- 静電モデルによるミセルクロマトグラフィーの保持機構解析
- イオン交換樹脂を用いるクラウンエーテルの分離分離(その2)
- 界面におけるイオンの局所構造と分離選択性 (特集 溶液・界面反応への新規な視点と手法)
- イオン交換基礎シリーズ(2)イオン交換における水の役割--対イオンの水和と局所構造
- ポリエーテルの分離とキャラクタリゼーション
- クロマトグラフィーによるイオンの分離 : 分離機構を中心に
- 導電性高分子膜を用いる電気化学的ガスセンサー
- ポリオキシエチレンの溶液/イオン交換樹脂界面での錯形成とクロマトグラフ挙動(表面・界面・薄膜と分析化学)
- 電気伝導度法による非電解質の検出とイオンの定性
- クロマトグラフィ-の新展開--ミセルとポリエ-テルの化学への分離分析的アプロ-チ (化学のフロンティア--翔け若き研究者たち-7-) -- (A部門(物理化学,分析化学))
- 多量注入イオンクロマトグラフィーによる微量亜硝酸イオンの定量 : 高交換容量イオン交換樹脂カラム使用による多量共存陰イオンの妨害除去(超微量分析のための前処理と予備濃縮)
- ノンサプレッサー型イオンクロマトグラフィーによる環境水中の陰イオンの定量
- 氷を用いて光学異性体を分ける : キラルアイスクロマトグラフィ
- 荷電膜における対イオンの局所構造 (特集 これからの荷電膜の展望)
- アイスクロマトグラフィーによる氷と液相界面へのアプローチ
- 日本分析化学会第60年会
- 荷電膜における対イオンの局所構造
- 氷を機能性材料とするエナンチオマー分離-キラルアイスクロマトグラフィー
- イオン交換現象の理解と解明に資する新規分析法の開発