美術教育思潮におけるリアリズム表現の受容とその問題点 : モダニズム概念の再検討による戦後美術教育運動の考察をもとに
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概要
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本稿において展開する考察の目的は,戦後日本の美術教育思潮におけるリアリズム表現の受容の背景に,どのような教育観と芸術観が潜んでいたのかを明らかにすることにある。アプローチの方法は次のとおりである。この論文では,芸術思潮におけるモダニズムの概念を再検討することで,リアリズムをモダニズムと対置せずに関連づける試みを行っている。これは,リアリズム対モダニズムという従来の図式的な理解を克服し,戦後の美術教育思潮を客観的に俯瞰するためである。また,美術制作の分野で展開されたリアリズム追究の流れと美術教育の運動にみられるリアリズム受容の流れを複眼的に比較考量している。その目的は美術教育界と美術運動の両者に通底するモダニズムの精神を炙り出すとともに,美術教育思潮におけるリアリズムの特質を明らかにするためである。この論考の先には,ポストモダンをも踏まえた同時代の美術教育の思想的座標の位置づけを行う試みが予想される。
- 美術科教育学会の論文
- 2008-03-27
著者
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