中等数学のカリキュラムへの視点(1)
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概要
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現在の中学校は第二次大戦後に義務教育化されたが、それ以前は、高等小学校と旧制中等学校が並立していて、そこでの数学のカリキュラムを単純に対比して言えば、高等小学校では実用的色彩が濃く、旧制中等学校では学問的色彩が濃かった。新制中学校の数学のカリキュラムは基本的には旧制中学校のそれを受け継いだ。大戦後の小学・中学の新義務教育体制のもとでは、さらに、小学校算数科と中学校数学科のカリキュラムを、それ自体としてどのように位置づけるかということとともに、それらの連接関係をどのように捉えるべきかが問題となる。現在に至るまで、カリキュラムの改編は続いている。特に注意すべきは、ある内容が小学校算数に移されたり、中学校数学に移されたりしている。これは算数は数学の前段階、あるいは、数学は算数の発展段階とする考えに基いている。換言すれば、算数と数学は難易度は異なるものの、同質のものであると看做されている。著者は算数と数学は連接関係はあるが、必ずしも同質ではなく、そこにおける思考の型が異なると考える。ここで思考の型と言って、思考の質という言葉を避けたのは、そう言うと数学が算数の上位にあると解されかねないからである。それゆえ、中学校数学の指導に当たってば、思考の型の変換を教師の側が十分に意識しなければならないと考える。本稿では、このような視点で、本稿は中学校数学の「数と式」と「図形」領域について論ずる。なお、本稿は和歌山大学教育学部での講義「数学科教育法A」の概要である。
著者
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