群の導入 : 教員養成学部での試み
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概要
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前にも述べたように、教員養成学部における数学教育は「代数学」「解析学」「幾何学」が3本の柱と位置づけられている。中学高校の教員免許取得要件は、代数学、幾何学、解析学、確率・統計、コンピュータに区分され、その各群にわたって所要単位を取得することである。数、図形、関数との対応関係は明らかである。しかし、実際の数学教育では、それらの相互関係が軽視されやすい。それに対して十分な理解をもつことが、中学・高校の数学教師に求められる数学的素養であり、それを与えることが教員養成学部の数学教育の責務である。中学高校の数学教師を目指す人々を対象とする教員養成学部の数学教育においてはきわめて重要である。自己批判も含め、これまでの教員養成学部の数学教育をあえて批判すれば、数学者養成を旨とした理学部型の講義をそのまま行ってきた。放免法上、代数学、幾何学、解析学等に講義内容が区分されているが、区分どころではなく分断して数学教育を行って来てはいなかっただろうか。教員養成学部における数学教育とはいかなるものであるべきか。題材と方法が問題にされるべきだが、従来、とかく「数学教育法」にのみ傾きがちで、題材については等閑視されてはいなかっただろうか。本稿では教員養成学部における群の導入を論じてみたい。群は導入の仕方によっては、抽象的議論に終始してしまうものではなく、それ自身十分美しいことを体得できる題材なのである。
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