複素数の世界(2)
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概要
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「図形」は中学数学の3本の柱のうちの一つとして位置付けられている。具体的に扱われているのは、平面幾何に限定すれば、三角形の合同と相似、円周角等である。「図形」の指導にあたっては、直観と論理の対応をたしかなものにすることが特に重要である。しかし、三角形の合同条件は決定条件と同値として、それを教育上確認させる手段として採られているのは、実際に作図させてただ一通りだけしか得られないことを感覚的に納得させることである。言わば神秘的な三角形の合同条件を認めさせれば、その後の「図形」の展開はかなり論理的に行える。この展開の仕方は、ユークリッド原論のそれを教育的に工夫はしているものの本質的には変わらない。言い換えれば,ユークリッド原論の欠陥を引きずっている。具体的に言えば、ユークリッド幾何の基本手段である、合同や相似の概念が不明確である。基本量は長さと角(の大きさ)であるが、特に角の概念が不明確である。その結果、高校数学で三角関数が出てくるときに戸惑うことになる。中学数学の段階では、これらについて、教育上、あいまい、かつ神秘的な扱いをすることはやむをえない。しかし、教師としては平面幾何を支える数学的な論理的基盤をわきまえておく必要がある。本稿ではユークリッド原論の問題点を指摘し、それを克服するために、複素数の世界(1)で代数的ないし純解析的な手段で構成・展開した複素数体を基盤として平面幾何を展開する。それをヒルベルトの著名な「幾何学基礎論」と対比させる。
- 2006-02-28
著者
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