チャールズ・バベッジの原価管理思想(V) : 著書・第1部「生産技術からみた経営管理の研究」(3)について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
チャールズ・バベッジの著書『機械および諸工場の経済について』は,彼が数々の仕事場や工場を訪問し,気が付いたことを纏めた成果である。それは従来の技術に取って代わる,当時としては,最新の技術や方法について紹介したものであった。これについて,バベッジは,このような技術や方法を取り入れていかないと,工場および社会においても大きな損失となる,といったことを独自の理論として展開している。著書の第5章は,動力の作動時間を延長することの有利性について述べたものである。例えば,時計であるが,従来のままの時計であると,時計が止まる度にリューズを巻かなければならない。しかし,数個の歯車を補うことにより,その作動効果は延長できることになる。また,家庭で利用する「焼串回転装置」は,それまで長い時間を必要としていた作業を短い時間で処理することができ,大変便利な用具でることを紹介する。第6章では,「自然的な作用における時間を短縮すること」について述べたものである。例えば,毛皮をなめす作業については,タンニン酸溶液と圧縮ポンプを利用すると時間を短縮できること。木材の腐食を防止するための作業には,圧縮ポンプを使ってタールなどを木材に染み込ませること。リネンを漂白する作業には,石灰を用いて塩素の効果を期待すること。製塩法について,薪やロープを利用して製塩効果を速めること。また,社会全体からすると,不適切な場所に配置された街頭時計や郵便受けは,関係者にムダな労力を費やさせる。そのため,それらが適切な場所へ配置されると時間のムダを無くすことができることを説明する。第7章は,「人間の力よりも過大な力を行使することおよび人間の感覚よりも繊細な作業を実施すること」について述べたものである。例えば,多数の人間の労働力を同時に一つにするために,音を利用すること。その例として,船の甲板での作業が甲板長の笛の音で行われていること。また,鉱山において,鉱物の昇降作業に鳴子のような装置が利用されていること。強力な動力を造り出すために蒸気機関が利用されていること。織機や蒸気船に蒸気機関が利用されているのは,その代表的な例である
- 千葉商科大学の論文
著者
関連論文
- チャールズ・バベッジの原価管理思想(III) : 著書・第1部「生産技術からみた経営管理の研究」(1)について
- チャールズ・バベッジの原価管理思想(IV) : 著書・第1部「生産技術からみた経営管理の研究」(2)について(影山僖一先生、高木泰典先生退職記念号)
- 第1章 現代社会におけるコストマネジメント(現代社会におけるコスト・マネジメントの課題特集号)
- 黒木正憲先生の人柄と業績 (黒木正憲先生退職記念号)
- チャールズ・バベッジの原価管理思想(VI) : 著書・第1部「生産技術からみた経営管理の研究」(4)について
- 最近のコストに関する諸問題 :「現代社会におけるコスト・マネジメントの課題プロジェクト」研究報告(リサーチ&レビュー〜研究プロジェクト発)
- チャールズ・バベッジの原価管理思想(V) : 著書・第1部「生産技術からみた経営管理の研究」(3)について
- 新川正子著, 『建設外注費の理論』, 335頁, 2006年1月発行, 森山書店刊
- チャールズ・バベッジの原価管理思想(2)著書『機械および諸工場の経済について』
- チャールズ・バベッジの原価管理思想(1)チャールズ・バベッジの生涯
- 倒産企業の会計政策
- 倒産鉄鋼商社の財政状態の推移--本来の鉄鋼業不振と新規事業の失敗
- 倒産企業の財政状態--港湾運送業A社の事例を中心として
- 会計における真実と粉飾経理
- 日本企業の国際合弁戦略と業績評価
- 米国ジョイント・ベンチャ-の会計処理と経営環境
- ジョイント・ベンチャ-の買収法による会計処理-1-
- ジョイント・ベンチャ-の買収法による会計処理-2-
- ジョイント・ベンチャ-投資の会計処理-2-持分法とパ-トナ-シップ会計
- わが国国際合弁企業の業績評価
- ジョイント・ベンチャ-の設立要因と資金調達
- ジョイント・ベンチャ-投資の会計処理-1-持分法の適用
- 「会計学研究」新井益太郎
- 米国ジョイント・ベンチャ-の税務-3-解散と外国ジョイント・ベンチャ-
- 米国ジョイント・ベンチャ-の税務-2-営業活動の税務
- 米国ジョイント・ベンチャ-の税務-1-株式会社と組合企業
- わが国における原価管理論の発展--今井忍博士の原価管理論の検討
- 中国合弁企業と「合弁企業所得税法」
- わが国における固定費管理の軌跡
- 「財務会計の理論」新井益太郎
- ヘンリ-・ロ-レンス・ガントの製造間接費概念
- ハリントン・エマ-ソンの標準原価と原価引下げ理論
- チャ-ルズ・バベッジの原価管理上の評価
- オ-ストラリアにおける利息控除の研究
- 検定簿記の社会的役割と課題 : 工業簿記の教育と学習
- 特集の狙い(会計&ファイナンスの軌跡とその新たなる視点)
- 現代企業における実際原価とコストマネジメント(コストマネジメントの課題)