チャールズ・バベッジの原価管理思想(IV) : 著書・第1部「生産技術からみた経営管理の研究」(2)について(影山僖一先生、高木泰典先生退職記念号)
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概要
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著書『機械および諸工場の経済について』の第1部は,生産技術の面から仕事場や工場の経営管理に関する各種の問題を取り扱っている。第2章では動力を蓄積する仕組みについて,第3章では動力を調整する工具について,また第4章では作業の速度を増加あるいは減少させるための工具や仕組みについて解説している。バベッジには,理想とする計算機を製作するという目的があった。そのために,英国および欧州の諸国にある作業場や工場を視察し,計算機の製作に役立つ技術を探していたのである。そして,これに付随して様々な経営管理の方法についても理解を深めていったという経緯がある。それがここに集約されている訳である。「動力の蓄積」に関しては,通常の状態で動力をそれ以上の動力として必要とする場合,どのような方法によるのかついて述べている。例えば,蒸気機関に接続させた「はずみ車」の利用や,ハンマー,黒色火薬,爆発銀などの事例を紹介し,説明を加えている。また,「動力の調整」に関しては,動力を調整する装置としての蒸気機関に関連する各種の自動調整器について述べている。例えば,水力自動調整器,ホッパー,フライなどである。ここでは,機械の稼働を自動調整器によって速度を一定に保つことができれば,機械の効果を増し,同時に機械の耐用年数も長く保てるといったような経済性についても言及している。これと同じ考えのもとに,蒸気機関への燃料の供給原則についても触れている。「作業速度の増加と減少」に関しては,作業速度を必要とする作業を行う場合について,その速度の必要性とそのための機械や工具にいついて述べている。この内容は,主に時間研究と動作研究に関連している。筋肉疲労を生じる工具の重量と作業の反復性,ポーターが運搬する最適な積載量と最も合理的な運搬方法などは,時間研究と動作研究の代表的な事例でもある。
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