明治期の「グリム童話」翻訳にみる訳語「こびと」の定着
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概要
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日本児童文学史において,近代に移入された諸外国の児童文学作品から受けた影響を無視することはできない。外国児童文学の受容という視点から日本の児童文学史を概観すると,それが明治期に一斉に開始されたことがわかる。未知の概念をことばで表現しようとするとき,多くの場合,そこには混乱が生じるものである。外国児童文学作品の翻訳が開始された明治期に視点を据え,「こびと」の翻訳状況を分析すると,「一寸法師」「小さき鬼」「老人」など様々な訳語が見られ,そこにある種の「混乱」が生じたことが見てとれる。この混乱こそが,外来の「こびと」が移入されたことによる既存の「こびと」像のゆらぎであると考え,本稿では日本人のもつ「こびと」像の変遷を探るべく,語誌的観点から「こびと」の意味内容を分析する方法論を探る。
著者
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