顆粒球塩基性ペプチドのdisulfide結合の役割
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概要
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顆粒球塩基性ペプチドであるデフェンシンについて,その分子内に存在するdisulfide結合の役割をモルモットデフェンシンとAcml-31ペプチド(disulfide結合を開裂した)を用いて検討した。はじめに,Staphylococcus aureusに対する効果を検討したところ,Acml-31ペプチドは,モルモットデフェンシンより,殺菌活性が増強された。次に,50mM NaClの存在下において,殺菌活性を検討したところ,モルモットデフェンシンでは殆ど殺菌活性は認められなかった。一方,Acml-31ペプチドでは,低張溶液と同様に殺菌活性が認められた。また,好中球のガラスへの接着能において,モルモットデフェンシンは細胞接着を増加させたが,Acml-31ペプチドでは変化は認められなかった。さらに,線維芽細胞に対する反応を検討したところ,モルモットデフェンシンは影響を与えなかったが,Acml-31ペプチドでは細胞毒性が認められた。以上のことから,細胞の機能を高めるには,disulfide結合による高次構造が必要であるが,殺菌活性などの障害活性には高次構造が必要でないことが示唆された。