学生がとらえたモラル・ハラスメント : 助産師学生の男女間精神的暴力に関する講義より
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概要
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モラル・ハラスメントはDVの中では精神的な暴力に相当するが,身体的な暴力を伴わない限り重篤な問題として扱われない可能性が大きい.その理由として,客観的な証拠,緊急性に乏しく,生命に直結しないなどの理由から,第三者に理解されず,いわゆる二次被害に遭遇する可能性はDV以上に大きいことが懸念される.夫婦間のモラル・ハラスメントもDVであり,被害者の多くが女性であることから,女性の心身の健康問題や家族関係の調整に関わる助産師がそのような被害者とかかわる可能性は大きい.モラル・ハラスメントに医療者が関わる可能性が高いが,カウンセリング能力の向上,専門機関や心療内科など他科への紹介をする以前に,医療関係者ができることとして二次被害を予防することである.そこで今回,女性と関わる機会が多い助産師学生を対象にモラル・ハラスメントについて180分の講義を行い,モラル・ハラスメントとは何かを認識し,医療者として二次被害の予防する行動がとれることを目標とした.今後の講義展開の参考とするため,講義前後の学生の学びについて調査を行った.その結果,モラル・ハラスメントという言葉を聞いたことがない学生が半数以上にいたにもかかわらず,講義終了後はそれぞれの学びがあり,将来の助産師として,モラル・ハラスメントを理解することの必要性について認めていたと考えられる.事前学習を行うことで学生は少なくともどのようなことがモラル・ハラスメントであるか,および付随する問題を認識することができた.またモラル・ハラスメントにみる精神的な暴力は,殆どの学生がDVであり,れっきとした暴力であることを認めていた.
- 桐生短期大学の論文
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