Matrix metalloproteinase-2^<-/->骨髄由来細胞の動脈硬化形成に与える影響

概要

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動脈硬化形成は単球/マクロファージ,リンパ球などの血管内皮下への侵入により始まる。Matrix metalloproteinases(MMPs)は動脈硬化性病変領域において発現が亢達し,細胞外マトリックスの制御を介して,炎症,細胞の浸潤,動脈硬化の病態,プラーク崩壊に関わっている。今回,ゼラチナーゼであるMMP-2の動脈硬化形成における役割を骨髄移植(BMT)を用いたキメラマウス作製手法にて検討した。致死量の放射線照射をおこなったLow density lipoprotein receptor欠損(LDLR^<-/->)マウスにMMP-2欠損マウスの骨髄細胞を移植した(MMP-2^<-/->BMTマウス)。回復後,6週間の高脂食負荷をおこない動脈硬化形成を調べた。コントロールとしてLDLR^<-/->マウスにwild-typeマウス骨髄細胞を移植したマウス(MMP-2^<+/+>BMTマウス)を用いた。実験中の生存率,体重は両群間に差はなかったが,血中総コレステロールはMMP-2^<+/+>BMTマウスが有意に高かった。MMP-2^<-/->BMTマウスの大動脈基始部および大動脈弓部における動脈硬化形成は有意に低下したが,コラーゲン領域,エラスチン領域に大きな差はみられなかった。今回,骨髄由来細胞のMMP-2欠損により血中コレステロール低下と動脈硬化形成の減少が確認されたが,その機序については今後の検討が必要である。