小児初期救急医療センター電話相談内容にみる家庭内事故の現状
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概要
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わが国の大きな健康問題である子どもの事故に着目し、山梨県内の小児初期救急医療センターにおける電話相談のうち、平成17年10月から平成18年9月までの1年間の電話相談記録を分析、検討した。1年間の電話相談の総数は3314件であり、そのうち事故関連の相談は271件(8.2%)であった。事故関連の電話相談件数は、月別では季節性はみられず、時間帯別では診療開始直後の19待合〜20時台が最も多く、24時までで244件(90.1%)を占めていた。年齢別では、1歳が89件(32.8%)と最も多く、0歳から2歳までで76.8%を占めていた。事故関連の電話相談内容は、271件のうち誤飲が197件(72.7%)と最も多く、頭部打撲25件、以下、転倒・転落、蜂・虫刺され、切創、熱傷などであった。誤飲197件の内容をみると、異物の誤飲が108件(54.8%)と半数以上を占め、次いで薬、食品が続き、不明が20件(10.2%)であった。誤飲に関する相談における年齢構成では、1歳が77件(39.1%)と最も多く、0歳52件(26.4%)、2歳35件(17.8%)であり、事故関連の相談者全体からみても低年齢層によるものであった。以上の結果から、今後の小児看護への示唆として3点あげられた。1.子どものいる家庭の日常生活では、ニアミスを含めた事故が少なくなく、受診の判断に迷うことが起こっている。2.小児初期救急医療の受診場面では、状況判断とともに、家庭内の事故対策や環境整備がなされているかを見極め、それに合わせた助言が望まれる。3.子どもの事故関連の電話相談においては、受診の必要性の判断、事故後のけがや嘔吐などの症状への対応に加え、養育者の育児状況や虐待の可能性についても察知し、アセスメントすることが求められる。
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