哲学と思想/自己と他者 : 書評溝口・池田・小島『中国思想史』と中島隆博『残響の中国哲学』
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概要
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昨年秋に奇しくも同時に,中国思想/哲学に関する,貴重な業績が2冊上梓された。ひとつは溝口・池田・小島による『中国思想史』であり,もうひとつは中島隆博の『残響の中国哲学』である。前者は中国独自の近世近代にいたる歩みを明らかにすることによって,従来の,独裁的中央集権という日本の中国観に訂正を迫る記述をなした。ただし中国的な個人のあり方と近代化については,いまだ不十分な問題も残されており,その点で後者による,中国哲学の「脱構築」の試みは,前者を批判しつつ補完する役割を結果的に担っている。しかし現代中国と現代世界における実践的な課題において,思想と哲学をどう把握するのかは,両者を踏まえた上で,なお考察すべき課題があることも事実であろう。
- 社団法人中国研究所の論文
- 2008-10-25
著者
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