法定通貨と換金可能な紙券型地域通貨の経済効果 -ランダムネットワークシミュレーションによる-
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概要
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本論は,使用期限無期限で発行できる換金可能な地域通貨に関わる法とその改正の経緯を論じ,法定通貨と換金可能な「紙券型」地域通貨を導入することにより,地域内にとどまるはずであった需要がどの程度地域外流出するかをシミュレーション実験で考察した。 C(換金可能な特定事業者),N(地域住民),O(地域外事業者)という三種の取引主体によって構成される複数のノード(結節点)を用いてランダム・ネットワーク・シミュレーションを行った。基本的な三つのパラメータα(地域内取引比率),β(特定事業者・地域住民比率),γ(地域通貨・法定通貨初期保有比率)で場合分けし,実現取引率と法定通貨換金率の二側面から経済効果を考察した。 地域通貨は地域内に需要をとどめ,実現取引率を高いレベルで維持することが理想である。γを高めても,地域通貨の使用場所が限定され,実現取引率が低い場合や,単に法定通貨換金率が上昇するだけであれば,持続的な経済効果が期待できない。実験では,地域内需要の流出規模は,地域内取引比率αによって規定され,地域通貨が必要以上に換金されずに循環するためには,αに応じた適切なγを設定する必要があることを示している。
- 北海道大学の論文
- 2008-12-11
著者
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