新教科"理科"誕生と実業教育思想
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概要
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1886年の新教科理科の誕生は2つの要素に分解される。理科誕生の要素のひとつは,「統合」であり,もうひとつは,教育内容の変化である。本研究は,明治前半期の実業教育思想と自然科学教育論を検討し科学教育の内容変化の一因を探る研究である。当時の日本は資本の原始的蓄積がすすみ,そうした社会的状況のなかで,小学校のカリキュラムの中で,実業に関する教科が充実していく。1881年の「小学校教則綱領」における"工業の初歩",1885年の「小学校及小学教場教則綱領」での工業小学科,1886年の「小学校ノ学科及其程度」のもとでの"手工科",さらに1891年の「小学校教則大綱」のもとでの"手工科"と,着実に初等教育での実業教育は前進したのである。こうした文部省全体の実業教育充実の流れのなかで,小学校条例取調委員のメンバーの多くも,実業教育のために科学教育の内容を変更することを主張していた。その結果として新教科理科を誕生させた「小学校ノ学科及其程度」は極めて実業教育思想の影響の強いものとなった。科学教育の内容を「諸科学の大意」から,自然現象・自然物・人工物の羅列へと変化させた一因は,実業教育の充実であると結論付けられる。
- 2006-01-31
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