最高速度を制御・表示する電気自動車ソフトQカー : その開発とITS政策における意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2006年1月の「IT新改革戦略」などを背景として、わが国でITSは「世界一安全な道路交通社会」実現の手段であることが強調されるようになった。道路交通の安全のために「速度制御」が最も重要な手段であるが、速度制御はわが国のITS施策体系に位置づけられず、自動車メーカーの速度制御への取り組みも部分的に留まっている。筆者らは、最高速度の表示・制御・認知のシステムを搭載した車の普及によって安全を実現しようとする"ソフトカー・プロジェクト"に取り組み、この過程でソフトカーのシステムを電気自動車に搭載し、時速2、4、6、15、30kmの制御が可能な"ソフトQカー"を開発した。これは愛・地球博に登場し、同時期に全国の自治体、小学校、大学などを訪問し、高い社会的受容性があることが確認できた。しかし実用化には道半ばである。2006年からは、交通被害家族などとのコンタクトを開始し、ソフトQカーを利用した速度と事故との関連を確かめる実験などをおこない、ソフトQカーの低速走行体験ができる場作りの提案を開始した。これを通じて自動車速度制御を求める世論形成のネットワークが形成されていく感触を得ている。本稿では、以上の経緯を概説し、今後のITS施策のあり方を考察・提案する。
- 2008-03-07
著者
関連論文
- 最高速度を制御・表示する電気自動車ソフトQカー : その開発とITS政策における意義
- ソフトカー[走行能力設定・表示車]の社会的受容基盤の形成 : その成果と展望(下)
- ソフトカー[走行能力設定・表示車]の社会的受容基盤の形成 : その成果と展望(上)
- 情報技術による既存都市の機能更新 : プロジェクト「IT革命と都市開発」の状況報告(リサーチ&レビュー 〜研究プロジェクト発)
- 多田応幹「占領期における百貨店の研究 : GHQ将兵・軍属外国人商社マンに対する営業を中心として」に対するコメント
- 第I部 わが国のITS(高度道路交通システム)政策およびビジネスの限界とその克服 : 自動車と都市開発のパラダイムシフトの視点から(IT革命と都市開発特集号)
- はじめに:応用プロジェクトの研究意図について(公共政策学と産業政策論の統合をめぐる課題について : 総合政策学序論研究の試み)
- 1.モデル・シミュレーション・アプローチの限界性と今後の展望(公共政策学と産業政策論の統合をめぐる課題について : 総合政策学序論研究の試み)
- 「脱・自動車依存と都市のコンパクト化による持続可能な経済・社会・地域の実現 : 実証分析、政策立案、実現可能性検討、提言」プロジェクト研究報告(リサーチ&レビュー)