微小発破の生体応用に関する研究 : 第8報障害ラット膀胱の修復動態

概要

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微小発破の生体応用に関する一連の研究の中で,膀胱に副損傷が起こった場合の修復動態を把撞する必要があった.そこで本研究は,ラット膀胱を用いて通常の臨床応用条件では考えられないような条件を設定し,発破後の修復動態を^3Hサイミジンオートラジオグラフィー(^3H-TdR ARG)を用いて調べた.2mgのアジ化鉛爆薬を使って空中発破を行った結果は,以下のとおりであった.1)ラット膀胱の発破に対する強度は,成犬のそれの約1/3程度であった.2)^3H-TdR ARGによる観察では,発破後12時間のショック期の後,粘膜上皮のG_<1,0>細胞は同調的に反応性増殖を開始して増殖サイクルに入り,30および54時間目に標識率のピークを示した後,粘膜上皮の再生完成とともに徐々に定常状態の標識率に復していった.3)距離15mmから発破を行って筋層までの障害を負荷したところ,膀胱壁深部に達した燃焼炭化物等は除去されずに被包化をうけて肉芽組織中に残存した.また,発破後に膀胱粘膜面を洗源しなかったラットにおいて結石形成が認められた.4)膀胱粘膜は発破後1週間で再生が認められたことから,膀胱は筋層に達する障害でも十分に回復する強い再生力を有すると結論した.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1987-06-20