経直腸的超音波断層法よりみた肥大症前立腺における被膜下摘除術治癒過程

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われわれは,前立腺被膜下摘除術を施行された肥大症31症例を対象として,経直腸的超音波断層法よりみた前立腺の術後修復過程について検討した.以下に今回得られた知見について述べる.1)経直腸的超音波断層法による超音波計測から,術前術後の前立腺を比較してみると,左右径の縮小はあまりみられないが,前後径,上下径の縮小は著しいことがわかった.また,術後前立腺の重量,左右径,前後径,上下径の平均値は,いずれも正常前立腺の超音波計測値とほば等しいことがわかった.2)術後前立腺の経直腸的超音波断層像は,大きく3つのパターンに分類された.すなわち,形状,被膜エコー像,内部エコー像ともまったく正常前立腺パターンのI型,正常前立腺の形状を示すが被膜エコー像,内部エコー像の乱れのある慢性前立腺炎パターンのII型,肥大症の形状を示すが被膜エコー像,内部エコー像の乱れのある急性前立腺炎パターンのIII型の3つに分類された.形態学的にみると,術後前立腺はIII型からII型へ,さらにII型からI型へと経時的に修復が進むことが推察された.3)このように,被膜下摘除術により内腺からの圧排が解除された前立腺外科的被膜の,術後の形態学的た動態を観察することは,外科的被膜の物理的性質からみた前立腺肥大症の排尿障害の病態解明におけるひとつの手段になりうると考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文

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