実験的膀胱腫瘍に対するACNUと高圧酸素の抗腫瘍効果

概要

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高圧酸素の抗腫瘍効果についてはかなり以前より知られているが,膀胱腫瘍に関しての報告は少なく,評価も定まっていない.今回,著者はウイスター系雄性ラットに0.05%N-butyl-N-(4-hydrox-ybutvl) nitrosamine (BBN)を飲料水として投与して膀胱腫瘍を発生させ,これに対する高圧酸素と1-(4・amino-2-methyl-5-pyrimidinyl)methyl-3-(2-chloroethyl)-3-nitrosourea hydrochloride(ACNU)の抗腫瘍効果を検討した.ラットは,I)無治療群,II)ACNU治療群,III)ACNU,高圧酸素療法(OHP)併用療法群の3群にわけた.0.05%BBNを18週間投与し,この間II群ラットには13週より18週までACNU 5mgを毎週1回,計6回腹腔内に注射した.III群ラットにはさらに11週から19週までOHPを施行した.20週で屠殺して,膀胱重量,内眼的膀胱腫瘍の有無,病理組織学的検索等によりACNU及びACNUとOHPの抗腫瘍効果を検討して次のような結果を得た.1)I群では90%に病理組織学的に膀胱腫瘍の発生をみたが,II群,III群では各々9.1%,0%(p<0.01)であった.2)I,II群間に膀胱重量の有意差はなかったが,III群はI群に比し43%(p<0.01),II群に比し32%(p<0.05)低値であった.3)II群,III群共に全例reeressionが認められたが,III群はII群に比しその程度は軽度であった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1987-05-20