森林における市民参加論の限界を超えて(統一テーマ:転換期における林業経済研究の課題,1999年春季大会論文)
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概要
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森林における市民参加論は,米国国有林の森林計画策定過程における市民参加制度の研究から始まり,特にその分野で進展したが,現在は第2段階として,流域へとフィールドを拡張し,森林だけでなく地域資源全体を対象とした研究の方向が模索されている。一方,日本における環境運動は,米国とは異なり公害問題を中心に展開してきたため,自然保護運動については研究の蓄積が非常に少ない。今後,市民参加過程の最も重要な当事者の一人である自然保護団体について,運動そのものの研究を深化させる必要がある。コモンズ論については,環境社会学と林政学でその捉え方が異なるが,いずれも今後の新たなコモンズ形成の契機として住民参加,市民参加を重要視しており,技術論としての市民参加論,単なる政治論としての市民参加論からの展開の可能性を見ることができる。以上のような検討の後,こうしたテーマ全体を包含した研究領域を提案した。地域ないし流域における自然資源と社会との関係を総合的に捉え,その理想的なあり方を積極的に提言する社会科学である。
- 1999-03-20
著者
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