森林開発後の地域林業が焼畑入植に果たした役割 : インドネシア,東カリマンタン州の事例より(1996年秋季大会自由論題論文)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
インドネシアの東カリマンタン州では,1970年代から,大規模な森林開発の後に住民による伐採が行われ,その後焼畑や農地に転換されるというパターンが随所でみられた。本稿では,バロン・トンコッ(Barong Tonkok)郡での実態調査をもとに,森林開発の後に焼畑や農地への転換が行われる要因について考察した。この地域では,1973年から森林開発がスタートした。最初の企業は大径木を伐採した後,1981年にこの地を引き上げている。その択伐跡地へ,周辺の地域住民が入植し焼畑を始めた。企業の引き上げ前にすでに入植していたのはわずか4世帯にすぎない。しかし企業の引き上げ後,入植世帯数は1985年に18世帯,92年には143世帯へと急増した。森林開発がこの急速な焼畑入植を招いた要因として,まず従来知られている道路建設と会社の引き上げが指摘される。さらに,バロン・トンコッ郡では,森林開発後の残存中径木を利用する「地域林業」の展開が,焼畑入植の進展に重要な役割を果たしていた。具体的には,地域林業の担い手である木材運搬業者と伐採技術者がそれぞれ,(1)木材運搬業者は,入植者に必要な交通手段を提供し,(2)伐採技術者は,焼畑耕作における森林伐開者としての役割を果たし,焼畑入植を容易にしたのである。
- 1997-10-01
著者
関連論文
- アセアン諸国における木質バイオマスの利活用(バイオマスアジアの展開〜第3回バイオマス・アジアワークショップから〜)
- 地域材が消費者ニーズほど使用されないのは何故か : 秋田県の住宅に関するアンケート調査の分析から
- 住宅市場における非対称情報の存在と取引への影響
- ウッドマイルズ : 地元の木を使うこれだけの理由, ウッドマイルズ研究会著, 農山漁村文化協会, 2007年3月, 223ページ, 1,750円(税込), ISBN978-4-540-06345-9(ブックス, Information)
- P107 ベトナムにおける5百万ha造林計画とバイオマス利用
- 熱帯林の農地転換:人口増加・道路建設・移住事業の影響 : インドネシア・スマトラ島におけるゴム栽培農村の事例
- 住宅市場における消費者の満足度向上と情報の関係--秋田県とつくば市のアンケート調査から
- 森林開発後の地域林業が焼畑入植に果たした役割 : インドネシア,東カリマンタン州の事例より(1996年秋季大会自由論題論文)
- 森林減少とゴム林所有構造の変化 : インドネシア・中部スマトラのダナオ村を事例に
- 原田一宏著, 熱帯林の紛争管理-保護と利用の対立を超えて-, 原人舎, 2011年3月, 262頁, 2,625円
- 本台進編, 通貨危機後のインドネシア農村経済, 日本評論社, 2004年8月, 224頁, 6,090円