点字タイプの効率性に関する実験的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
この研究は、わが国の盲学校において70年来使用されている点字板と比較して、点字タイプがいかに効率的なものであるか、さらには盲教育の近代化をはかるうえに点字タイプがいかに重要な役割をはたすかを実験的に明らかにしようとしたものである。そこで、点字板と点字タイプの作業能率をいろいろな角度から徹底的に比較検討するために、被験者を盲学校小学部3年の全盲児1名にしぼり、4ヵ月間にわたって訓練(1日平均1時間)をおこなった。その訓練過程の中で各種のテストをこころみ、点字タイピングの進歩の度合いをしらべるとともに、点字板との比較・分析をおこなった。その結果、点字タイプはつぎのような点で点字板よりもすぐれていることが実証された。1)書速度がはやい。-点字板と比べて約3倍の能率があがる-2)正確度が高い。3)確認や修正がしやすい。4)作業の継続が容易である。5)疲労度がより少ない。-したがって、比較的長い時間、作業をさせても、点がきれいにでる-また、この実験で使用した点字タイプの中では、Parkins Braillerが最も性能がよいことも明らかにされた。盲学校では、毎日の授業の中で、点字用具を使用しない日はまずないといってもよい。したがって、いつまでも非効率的な点字板のみでノートなどを書かせていてはとても盲児の学習指導の近代化はのぞめない。そのうえこういった教材教具の不備が、盲児たちの学力のみならず、性格・行動面にも、マイナスの影響をあたえることも考えねばならない。もちろん、点字板がまったく不要だというのではない。ときと場所に応じて、点字タイプと点字板(卓上用および携帯用)を使いわけることがのぞましい。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1971-06-01
著者
関連論文
- オプタコン研究の動向(2)
- オプタコン研究の動向(1)
- VI 特殊教育と教育心理学
- 6 特殊教育 : a 盲・ろう・その他(日本教育心理学会第9回総会部門別研究発表題目・討論の概要)
- 感覚・運動機能の発達と学習(シンポジウムI,広島大会シンポジウム報告)
- インテグレーションをめぐる諸問題(第3分科会,第11回大会シンポジウム報告)
- 点字タイプの効率性に関する実験的研究
- わが国の弱視教育の現状と今後の課題
- 提案2.(IV 盲弱視部会,判別と指導,部門別シンポジュウム,日本特殊教育学会第7回大会シンポジュウム報告)
- LABO独習機による視覚障害児の英語学習の効率化(盲・弱視部門,個人発表,日本特殊教育学会第五回大会発表抄録)
- 603 盲人のVerbal Communication Mediaの開発に関する諸問題(盲・ろう・その他,6.特殊教育)
- 小学1年の盲児および弱視児とカセット式テープレコーダー(盲・弱視部門,個人発表,日本特殊教育学会第五回大会発表抄録)