八ケ岳山麓における荒廃牧野復旧に関する研究 : 第II報 牧野侵蝕防止および牧草導入について
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概要
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(1)荒廃牧野の土壤侵蝕防止の一環事業として,飼料木養成方法について,1953年より1955年にわたつて試験を実施した。飼料木はイタチハギおよびトゲナシアカシヤを供用し,挿木および芽播の時期ならびにその方法を試みた。(2)挿木の時期は,3月中下旬が最もよく,トゲナシアカシヤはとくに3月中旬頃が適期と考えられる。芽播は挿木に比し発根歩合が低く能率的でない。挿木は2年生木の2〜3芽付が発根歩合が高く,その後の生育速度も概して早い。(3)荒地を復旧し牧草化するため,階段芝張法,植樹法,シガラ法を用い,土壤の安定度を高め,これに牧草を導入し表土の雨滴による流亡を防ぐ研究を1955年より1957年にわたつて実施した。(4)傾斜角度が8度〜10度程度の荒地には階段芝張法または,植樹法が最もよく,10度以上の傾斜地はシガラ法がよいものと思われる。しかし長年月にわたつての土壤保全には未だ一考を要するものと推察する。(5)土壤侵蝕防止としての適牧草とその導入方法は,初年度にウイーピングラブグラス・マウンテンブロームグラスまたはペレニアルライグラスのいずれかを播種して,表土の流亡を防ぎながら遂次イタリヤンライグラス・オーチャードグラス・ケンタッキー31フエスクのいずれかを,荳科牧草のラジノクローバーと混播するか,なおこれ以外の優良牧草を追播し,改良を加えることがよい手段と考える。
- 日本草地学会の論文
- 1959-09-10
著者
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