邦産牧草の水分生理(1) : 2.3牧草の滲透価に関する予備的観察
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概要
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盛岡市内に野生化する牧草レッドクローバー,ヘアリーベッチ及びオーチャードグラスについて滲透価を測定した,測定は1956年に行われ,方法は材料植物葉の裏面表皮を蔗糖液中に投じ,細胞の限界原形質分離を起す時の液の濃度(重量モル)を検し,この濃度を以て滲透価とした。これら3種の牧草については何れもその滲透価が或る程度明確な日変化を示した。即ち滲透価は午前11時〜午後2時の間に最高値に達し、以後漸減する。最低値は早朝に見られ午前8時の滲透価は最高値の94〜97%を示した。なお5月下旬〜6月初旬に於けるこれら牧草の日内最高滲透価はレッドクローバー,ヘアリーベッチで0.35〜0.36,オーチャードグラスでは0.36〜0.37であつた。又これら3種牧草の滲透価は季節的に著しい変化が見られた,一般に冬季間は滲透価が極めて高くて(レッドクローバーで0.60)春季生育が進むに伴つて滲透価は次第に低下して0.36を示すに至るが,開花前10日頃より再び上昇し始め開花初期にはヘアリーベッチでは0.42他の2種は0.38となり,その後急降下して0.34〜0.35を示した。滲透価はその後漸増して結実期には0.38〜0.39とな?つた。越年性の個体では以上の如く生育週期に伴う滲透価の変化が見られたが,これら牧草の種子を播下して得た当年生の苗では,レッドクローバー及びヘアリーベッチでは発芽時に0.33〜0.34,続いてやや低下し以後漸増して0.36を示すに至つた。オーチャードグラスでは発芽時の滲透価は6月初旬播種のもので0.35,同月下旬播種のものでは0.31を示したが,何れも以後漸増して0.38内外にまで達した。
- 日本草地学会の論文
- 1958-03-30
著者
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