注意欠陥多動障害の前頭葉機能障害仮説に関する検討
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概要
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注意欠陥多動障害の前頭葉機能障害仮説を検討した殆どの研究は、仮説は支持されると結論づけた。しかしながら、前頭葉機能を反映する課題を個別に分析すると、注意欠陥多動障害児が健常児よりも一貫して低い成績を示したのはヴィジランス課題とPorteus迷路テストだけであった。また、生理学的、神経解剖学的な研究から、前頭葉のみならず覚醒をつかさどる皮質下構造をも含めてとらえる必要があることが示唆された。したがって、長時間注意の維持を必要とするヴィジランス課題で低い成績を示した結果は、前頭葉-網様体系における覚醒の調節作用の不全を反映したものと考えられる。また、Porteus迷路テストで低い成績を示したのはプランニングの障害を反映したものであるが、それが発達の過程でどのように推移するのかについては今後検討する必要がある。
- 1996-01-31
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