高等部重度精神遅滞の生徒に対する学習意欲・目的的行動を引き出す指導に関する工夫について : 作業学習指導のスモールステップ化と補助具の工夫・活用及び総合評価法の導入(実践研究特集号)
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概要
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重度精神遅滞の生徒の場合には、学習意欲・目的的行動をいかに引き出すかが指導上の重要な課題である。本報告は精神薄弱養護学校高等部に在籍する一人の重度精神遅滞の生徒の「作業学習」に焦点を当て、意欲を喚起させるための指導内容・指導方法、さらにはその評価の仕方に関する研究を行ったものである。そこで、作業学習指導において「ピロウビーズのれん作り」を題材に選び、治具・補助具による動機づけの工夫や治具・補助具の工夫によるスモールステップの指導段階の設定を試み、指導を進めていった。その指導過程を「VTR反復視聴法」を用いながら、試案としての「総合評価法」を導入することで、本事例(以下G.Aと記す)の変容について平均点、正反応率の客観的データを示すことができた。またその指導の経過を記録し、指導方法の手掛かりを得るのに役立てた。結果は、技能面、態度面においてゆるやかではあるが上昇変化傾向を示し、その効果を確認できた。スモールステップによる指導段階を通しての「ピロウビーズのれん作り」は、G.A.にとって、技能面、態度面の向上とともに、徐々に見通しがもて、意欲をもって取り組むことができた。また、製品になることが徐々にわかり、見通しをもった目的的行動へとつながっていったものと思われる。さらに、これらを通して青年期である高等部生徒G.A.が技能の向上とともに意欲を持って、ひとつの製品を作りあげることができたことを確認するとともに、この段階に達しても可能性を信じてあきらめずに指導することが必要であることが示唆された。
- 1995-03-31
著者
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